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「Trick or Treat!」

10月最後の日、言わずと知れたハロウィン。幼い頃に一緒に仮装して家々を回ったことのあるバージルだから、きっと覚えているだろうとダンテは仮装してバージルの部屋の戸を開ける。
力一杯開けて何度も怒られた事があるから、力加減はもちろんした。
それでもバージルの眉間には盛大に皺が寄っていた。何か、怒らせることをしただろうかとダンテが首を捻るとバージルの口から重々しいため息が漏れる。
「一体、何事だ」
「何って、だからハロウィン…」
「…そうじゃない、なんだその格好は…」
バージルの視線が下から上へと移動するのにあわせて、ダンテも自分を爪先から改めて見てみる。
黒いブーツ、黒いスキニーデニム、黒いノースリーブのハイネック、そして黒いアームカバー。
仮装用の黒い猫耳としっぽがアクセントである。大分控えめだが、きちんとハロウィン用に用意したものだ。残念ながら猫の手のようなものは売っていなかった。
「えっ、ハロウィンだから、仮装してるんじゃん」
当然だろう、とダンテが答えてバージルを見るとバージルはいつものようにシャツとチノパン(両方とも質が良さそうなものだ)で、小難しい本を手にしている。
「なんだよ、バージルいつも通りじゃん…」
「当たり前だ、もう菓子を強請るような年じゃないだろう」
呆れ半分に苦笑するバージルに対して不満気に唇をとがらせ、ダンテが「じゃあイタズラな?」と手を出そうとすると、バージルは口元を手で覆ってすぐに牙の生えた口を開けてみせた。髪で隠れ気味だが耳先も尖っている。

Trick or Treat

「Trick or Treat」
「えっ、なにそれずりぃ」
「お前だって牙は自前だろう」
「そうじゃなくってー」
確かにあの仮装用の牙をつけるのはなんだか嫌で、ダンテは牙だけは自前で間に合わせていた。
「どうせなら、耳もしっぽも自前にしてしまえば良かったのに」
そうすればイタズラの幅も広がろう、とバージルが言えば
「それは俺のイタズラじゃなくて、あんたのイタズラが、だろ…」
そう呆れた声が返る。
「さて、イタズラと菓子、どちらを選ぶ?」
目の前まで迫っていたダンテを膝に招くと、バージルは猫耳のカチューシャを外した。



お互いにイタズラを選びます(^ρ^)
自前で猫耳とかしっぽを付けられるのかは謎ですが、きっとできるんじゃないかなと言う期待!
※10/23のSPARK6で配布したペーパーに載せていたものです。